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ATELIER VILLAGE

CONCEPT  

週末レストラン物語


いつか見た夢のストーリー。 一部はフィクション、一部は本当のこと。


アーチスト達が土日だけオープンするその店は、三木の某所にある。
高速道路を降りて焦らず約10分ほど走ると、簡単なメモに書かれた地図だけを頼りに来たが、私の不安を裏切り、あっけなく到着してしまった。都心から離れた郊外の小さな町の、そのまた小さな農園という印象だ。

 まだ舗装されていない私道の左右には、惜しげ無く原っぱが広がっている。そして、道の行き止まりに、その店はあった。このファームの存在を密かに私に吹き込んだ、S氏の設計・デザインによる建物だ。廃材を利用して、しかもほとんどが手作りなのだという。

 見たところ、平屋のログハウスとガレージを足したような作りになっており、エントランスには見たこともないような様々な色の石がひかれてあった。
 道の両脇と建物をデコレーションするように、色とりどりの花と樹であふれている。よく見るとそれぞれが動物の形のかわいいトリミングをされている。これは遊び心いっぱいのY氏によるガーデニングだそうだ。



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季節が良いせいか、無防備に開け放しになったままのドアから室内へ進む。室内は木の香りがふんだんにあふれており、非常に心地良い。また、一つ一つが丁寧な作りになっていることがよく判る。

 ふと壁を見るとセンスの良いクロスに驚く。環境に優しいこだわりのインテリアを提案することで有名なM氏の作品だ。さらにその壁には大きな風景画がかけられている。この村に居る唯一のイラストレーターによるリトグラフだ。

 部屋の中央に存在感たっぷりの大きなムクのテーブルに圧倒される。家具デザイナーのA氏の作品だ。同氏の作品の椅子に座る。落ち着いたブラウンの固い木材を使用し、どっしりとした質感が何とも心地良い。テーブルの上には、この村の花畑で摘まれた野草と切り花が美しくディスプレイされている。

 メニューを見る。

 "摘んできた無農薬野菜のほうれん草のクリームパスタ"
 "昔の味がする肉厚トマトのサラダ"
 "さっき生まれた玉子のプレーンオムレツ"

思わず、唸る。これがS氏が言っていた、最高の食材なのだろう。
また、野菜の作者はB氏・C氏、玉子の作者はD氏と書かれてあった。彼らは皆、この敷地内の養鶏所や畑の運営者たちだ。ここでは皆、生産者はアーチストで作者なのだという考えは、製品に対する自信なのだそうだ。



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食事の前にと進められたワインは、この部屋の地下にあるワインセラーから取り出された逸品だ。カジュアルではあるがソムリエとおぼしき男性が、地下を掘るだけの簡単な設備だけでも充分なのだと説明してくれた。

 まもなくオーダーした料理が運ばれてきた。グリーンサラダとスパゲティカルボナーラだ。この食材を最良に生かす料理を作ったのはイタリアで長年修行を積んだN氏である。

 そしてカルボナーラをよりいっそう引き立たせているディッシュトレイはD氏の作品。この店から少し離れた場所に窯があるそうだ。申し入れると私のような素人でも皿くらいは焼かせてくれるらしい。和食にも洋食にも合いそうな、何とも言えない土の良い風合いが息づいている。



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空腹を充分満たしたあとようやく気付いた心地よいBGMは、T氏のプロデュースするスタジオで録音されたジャズのライブ演奏だ。ライブということで時々変な音が混ざっているが、悪くない。時折、この店でもライブがあるらしい。

 食事が終わりレジへ向かうと、かわいいパッケージの卵を見つけた。6個入りでそれぞれに違うイラストのシールが貼られている。土産に思わず2パック購入する。

 さらに、店主らしいその男性は、毎週スタッフが代わるのだと説明してくれた。この店に関わる全てのものを作ったアーチスト達が、交代で運営しているからだと言う。

 そして、驚くことに、椅子や、テーブルや、花や、家など、ここにある全てが買えるもののサンプルだと言う。次回はハウスメーカーである私の友人を連れて、気に入ったアーチストとの商談に来てみることにしよう。



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